祭りの後の

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「お前、、、自分の立場をあまり悪用するもんじゃねーぞ。今だって、オレがお前に甘いのをいいことに、、、。お前が抜け出してんのが病院側にバレたらオレだって大目玉くらうんだからな?」 「そこは燈也がバレないようにしてくれたんじゃないか。浴衣も面も、用意してくれて助かったよ。、、、靴だけは最初なくて足が痛かったけど。」 嬉しそうな笑顔を崩さず受け答える紺に燈也は呆れたような、もう諦めたような顔をしてから紺に背を向けテントの奥に向かう。 「靴はしょーがねぇだろ、、。当日にいきなり言われたってお前に合う靴を見繕って用意すんのは間に合わなかったんだよ、つーか今お前が履いてるサンダルどうした?買う金なんて持って来てたのか?」 「あぁ、これもあおいがくれたんだ。いいでしょう?」 「ったく、何から何まで世話かけたんだな『あおい』ってやつに。ほらこれさっさと着替えろ。そんで今日は一刻も早く病室戻れ。」 そう言って燈也は奥から持って来た紙袋を紺に渡し、代わりに金魚の入ったビニール巾着を受け取る。 「ありがとう、ちょっと奥借りるね。とりあえず浴衣の中に着てけば良いかな。」 紺がテントの奥で着替えている間、燈也は預かった金魚を目の高さまで持ち上げ、それをまじまじと眺めた。 「金魚すくい、ねぇ。」 「着れたよ、燈也ありがとう。そろそろ戻る。」 しばらくして、テントの奥から戻って来た紺は先程までと同じ浴衣姿だった。 「病院に入る直前に浴衣だけ脱げばあんまり目立つことないよね。」 「あー、そうだな。そんじゃあ入り口までは付き添ってやるよ。」 「うん、ありがとうね、燈也。」 「いーよ、お前の我儘聞くくらいの余裕はある。」 「はは、燈也のそういうとこ、本当好きだよ。自慢の幼馴染だね。」 「はいはい、オレもお前の無計画で頑固で天然なところ嫌いじゃないよ。あぁ、そういえば、金魚の名前ってもう決めてんのか?」 2人並んで暗い道を、少し先にある大きな病院に向かって歩きながら燈也は気になっていたことを聞いた。 「うん、『シュオ』って名前にする。碧がすくってくれた、朱色の魚だからね。」 「そうかい。まぁせいぜい強くでっかくなるように、大事に育ててやれよ。」 「そうする。俺も『シュオ』には負けてられなくなったなぁ。」
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