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「別に、、、気分が乗らないだけだ。あんたもおれなんかに構ってないで楽しんできたらいいじゃん。」
そう言うと狐面はじっとこちらを見て、少しするとゆっくり立ち上がった。
「うん、それじゃ行こうか。ちなみに俺は“あんた”じゃなくて『コン』だよ。よろしく。」
コン、と名乗った目の前の男は立ち上がるとかなりの細身で、長身だった。
しかしそれ以上にそいつの足元を見て驚く。
「いや、行こうかって、、、。おれはいいよ。それよりなんであんた裸足なんだ!?」
『コン』は質問の意味を考えていたのか、少し間を空けて、
「ちょうどいい履物がなかったからだよ。」
と、さも当然のことのように言った。
「いやいやなかったからって、、。裸足じゃあぶねーだろ!」
「砂だから割と大丈夫だよ。コンクリートの上を歩いたときは痛かったけれど。」
「当然だよ、、。バカなのか?もういいそこでちょい待ってろ!」
そう言いおれはぬるいラムネ瓶をコンに押し付けてから、もう閉める準備を進めていた海の家で安くて1番大きいビーチサンダルを買い戻った。
「とりあえず、これ履いてけ。似合わないとか文句は認めないぞ。」
そう言ってなかば突きつけるように渡すと、コンは表情こそ見えないが嬉しそうな声でお礼を言ってきた。
「ありがとう!君、優しいな。」
「、、、君、じゃない。俺にも『碧』って名前があんだよ。」
「あぁ、それは申し訳なかった。“あおい”か、いい名前だね。優しい花の名だ。」
漢字は違うし、そんな言われ方をしたのははじめてでなんとなく口元がむず痒い感じがしたけれど、それを隠すように質問を投げかける。
「それよりあん、、、コンは祭りの何見たいんだ?とりあえずなんか食いながらまわるか?」
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