第一夜

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機嫌一つで延々と続く上司の小言。 売上業績成績主義。 いつも出来合いのお弁当を頬張り、スーツをいくつ着潰したかも分からない。 ――フライパン? 最近いつ握ったっけ。キッチンはごみ置き場として、目も当てられないことになっている。 もちろん、全ての会社がそうじゃないとは分かってる。 だからって、女の武器を使って、可愛い子ぶって、ちやほや甘やかされる年齢でもなくなった。 というか、そういう武器を使うのは、使える時から苦手だった。 いつの間にか「アイツに噛みつくと面倒だぞ」って言われるようになって、気づけばとっくにアラサーを越えていた。 今やもう、アラが抜けた、ただのサー。 そのサーも、三年前に置いてきた。 しかも、いつの間にかサーティースリー。 ……ホント、笑えない。
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