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すると都琴がキョトンとする。
「それを望んだのは俺ですが」
「だから! それが変だって言ってんの」
唇を尖らせ、シーツで胸元を隠して、膝を立てて座った。
それでも都琴はキョトンとしたまま、こちらの意図を汲み取っている感じはない。
「聡乃さん、年齢に過敏になりすぎですよ。見た目、見えないじゃないですか。とっても可愛いですよ」
「……………はぁ!?」
突然のそんな褒め言葉に、背中がこそばゆくなって、聡乃は顔を歪めた。
「待って待って! やめてやめて!」
腕を摩って、都琴を白い目で見る。
「本気で言ってんの!? 斎藤くんってそんな人だったの!?」
「……はぁ」
そんな聡乃とは裏腹に、またも真面目にこちらを見返す都琴の瞳は、茶化すわけでも嘘をついているわけでもないようだ。
(この人、B専……!?)
ブス専って言葉、きっといまどきの若者は知らないだろう。
とはいえこの時の聡乃は、ブスのBというよりは、ババアという意味でのBで使ったのだが。
「というか言うほど歳離れていませんから。俺28ですし、まぁ言うならアラサーってやつですし」
「そこの2年が大問題なのよ。28なんてまだまだ20代じゃない!」
「だから、年齢に拘りすぎなんです」
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