第二夜

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ギュッと眉を顰め、都琴を窺った。 だけどきっと、この何ともいえない甘い言葉に、すぐに絆され始めてしまうことは目に見えている。 そしてそれが、忘れられないものになってしまうことも、重々予測できてしまうから、生きた年月って厄介だ。 昔ならすぐさま飛び込めたことにも、最近は頭で予測判断してしまう。 経験って大切だけど、経験って厄介だ。 心の内側の、脆く柔らかいところを撫でられて、気持ちは傾いている。 嬉しいって素直に思える。 そんなことを言ってくれる都琴に感謝している。 だけど、それでも、飛び込む踏ん切りができないのは、言われた通り、年齢に縛られすぎている聡乃の思考のせいだ。 いつからだろう。 こんな風に、自分に自信を持てなくなってしまったのは。 でも……。 「まぁ、嬉しい、けど……」 襟足を掻いて、視線を外した。 それでも都琴は臆することなく、聡乃をまっすぐに見据えていた。
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