第二夜

19/22
2353人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
何が何だか分からないまま、若干──いや、だいぶ──カラダに流されて始まったとしか思えない彼との関係だが、 「山本さん、今日直帰ですか?」 見てくれのいい好青年(将来有望)に好意を向けられるのは悪い気はせず……。 「そうだけど?」 だけど、可愛げなくツンとした態度でしか返せない自分に、本当は心底反吐が出そうになっている。 (ここは可愛く、そうだよ? っでしょ!) 自分を諌め、気を取り直して顔を上げると、 「よかった。じゃあ何か食べて帰りません?」 そんな聡乃の気持ちなどお構いなしに、都琴は爽やかな笑顔を浮かべている。 「……、」 やっぱりおかしいよね、変だよね。 (こいつってこんなに笑う男だったっけ……) 都琴がこんなにも輝かしく見えるのは、やはりもう手中に落とされてしまったと認めるべきだろうか。 (いやいや……) 頭の中で頭を振り、聡乃は肩を落として都琴の隣を歩いた。 「あっ、あぶない」 「……っ」
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!