2353人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
何が何だか分からないまま、若干──いや、だいぶ──カラダに流されて始まったとしか思えない彼との関係だが、
「山本さん、今日直帰ですか?」
見てくれのいい好青年(将来有望)に好意を向けられるのは悪い気はせず……。
「そうだけど?」
だけど、可愛げなくツンとした態度でしか返せない自分に、本当は心底反吐が出そうになっている。
(ここは可愛く、そうだよ? っでしょ!)
自分を諌め、気を取り直して顔を上げると、
「よかった。じゃあ何か食べて帰りません?」
そんな聡乃の気持ちなどお構いなしに、都琴は爽やかな笑顔を浮かべている。
「……、」
やっぱりおかしいよね、変だよね。
(こいつってこんなに笑う男だったっけ……)
都琴がこんなにも輝かしく見えるのは、やはりもう手中に落とされてしまったと認めるべきだろうか。
(いやいや……)
頭の中で頭を振り、聡乃は肩を落として都琴の隣を歩いた。
「あっ、あぶない」
「……っ」
最初のコメントを投稿しよう!