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男と認識してくれてはいるものの、それはただの性差の枠組みであって、聡乃の中でまだまだ、異性という目で見てくれてはいないことを物語る。
もちろん、都琴はソレを望んでいるわけではなかった。
緊張でガチガチになったり、他人行儀な態度はとってほしくない。
自分を偽ったりせず、聡乃らしい自然体でいてほしい。
とは言うものの、全く異性として見られないことは問題だ。
都琴は葛藤していた。
次はどう出ればいいのか、トグロを巻いている聡乃を脇にグラスを傾けた。
「おい、斎藤聞いてるか~~?」
「もちろん、聞いてますよ。聡乃さんの話、為になります」
頷くと安心する。
安堵の表情を広げる聡乃が可愛い。
「可愛いです」
「殴るよ?」
酔っていても素面でも、ブレない聡乃がまた可愛い。
「全く、顔のいい奴は口が軽い……っ」
ブツブツと呟く聡乃に、都琴は苦笑した。
今はまだ、もう少しこのままで。
焦らなくてもいいかと思わせる。
自然体の聡乃はとても可愛かった。
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