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(ああ、自己嫌悪……)
気怠い腰を持ち上げ、いつものように朝風呂に入り、家の中とは裏腹にバッチリ決めて会社に出向いた。
仕事はできる、要らない口出しもしてくる、男勝りのスパキャリ。
だけど実際は、絵に描いたようなズボラ女子。
家に呼ぶことなんぞあったら、さすがの都琴だって、夢から醒めてしまうに違いない。
(そう、そうだよ。斎藤くんは夢を見てるだけ……)
会社で見る聡乃と、リアルの聡乃は全く違う。
そんなことを思いながら、重い気持ちでオフィスのドアを開けた。
乱雑に積み重なった書類の山が、いくつものデスクの上に跨っている。
「おはようございまーす」
いつもの通り、力の篭らない声で挨拶をすると、
「山本くん、ちょっと」
嫌味で影の薄い上司の大田が、聡乃に向かって陰湿な手招きをした。
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