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「斉藤くん! 望都さんの件、兄弟の特権使って、近日中に取材時間を取り付けて!」
自分のデスクに戻るなり、半ば八つ当たりするように、すでに出社していた都琴に告げた。
「どうしたんですか。また太田編集長に何か言われましたか」
パソコンと向き合いながら、こちらを振り返ることなく言う。
まただ。
望都さんが絡むと、途端に子どもっぽくなる。
「あのねぇ、これは仕事っ」
「浮かれているのは聡乃さんだと思いますが」
「――!」
確かに。
望都さん以外の取材のことであんな催促をされようものなら、太田を殴っていた。……確実に。
「そ、それは……っ、やっぱり今をときめく超人気デザイナーだし、単純に興味っていうか、会ってみたいっていうか……」
「……聡乃さんの好みですもんね」
「その言い方っ!」
キッと目くじらを立てる。
それでも都琴はひょうひょうとしている。
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