乾いた心

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家までの道のりはあっという間だった。 いつもはやや遠いと感じる速足でも徒歩15分先のマンションがすぐ目の前に来たとき、亮介さんが「コンビニで何か買ってく?」と言った。 そこは私の住むマンションの二つ建物を挟んだ隣。よく利用するコンビニだ。 「はい。飲み物とかあまりないので」 「行こう」 亮介さんにはずっと肩を抱かれていたけれど、コンビニに入ったところで回されていた手を離された。 本来、それが普通の距離。 それなのに寂しさに襲われる。 きっと、酔っているせい。 「佐々原さん、まだ飲める?」 亮介さんはビールを手にしている。 まだ飲むようだ。 バーでは止められたけれど、飲めるか、と聞かれたということは一緒にまだ飲みたいのかもしれないと思い「はい」と答えた。 今の私はどうなってもいい、という思いが強かった。 スナック菓子や、お茶、お酒と次々カゴに入れていったあと、亮介さんが「佐々原さん、雑誌でも見てて」と言ったので、いうことをきいた。 その間に、彼が泊まるつもりでいるのだろう、日用品を揃えていたのを見てしまったのだが、私は気がつかないフリをした。
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