8人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝、出向くと、祖母はたくさんの服を広げて、仕分けし始めていた。
「おはようさん。よう来てくれたな。おおきに」
玄関から見えた顔は、昨日よりも元気そうに見えた。
「一体何をしたらいい?」
「まずは、二階にある服を全部降ろして欲しいんや」
「うん、分かった。……、荷物はたくさん持っていける?」
「行くとこは、二部屋くらいしかあらへんし、ほんまに必要なもん以外は全部処分するつもりや」
「この家は?」
自分の実家よりも古いこの家は、築四十年ほど経っているのかもしれない。
「こんな古い家なんやけど、住みたいという人がおるさかい、その人に貸そうと思うて……」
「ああ、そうなんだ」
家までも跡形もなく消えてしまうのかもしれないと思っていた分、それを聞いてほっとする。
最初のコメントを投稿しよう!