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「いや~、新(あらた)やないか! ひさしぶりやな、今年でいくつになるんや?」
「先月二十歳になりました」
「ほうか、もうそんな年になったんやな」
僕は叔父に向かって答えた。我が家では祖父の三回忌を終えた親戚らが、わいわいと酒を酌み交わしている。
昔ながらの造りであるこの家では、法要を行うために座敷と客間の襖が取り払われ、いくつもの長机が並べられていた。
「そうか、もう二十歳になったんか。なら、そろそろ仕事のこと考えんとな」
「あ、そうですね……」
大学の話をすっ飛ばして、突然就職の話を振られた僕は、その先の言葉が続かなかった。
「新はどこで就職しようと、考えてるや?」
話を盛り上げようとしているのか、他の親戚らも会話に交り始めたが、僕はそのまま愛想笑いを返す。
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