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少しだけ居心地が悪くなったが、ありがたいことに地元の友人から連絡が来ため、そのあとは自分の部屋に隠れるように過ごした。 しばらくすると家の中の賑やかさが落ち着き、親戚らが帰っていくのが伝わってくる。 そして、自室のドアが叩かれ、開けられた。 「新、おばあちゃんを送って行ってな?」 「うん、分かった」 下へ降りていくと、台所のテーブルではちょこんと母方の祖母が座っていた。 「新、酒飲めへんかったな。送ってもらって、ういなー」 僕はおばあちゃんの『うい』という言葉に弱い。 申し訳ないという意味を含んでいるが、独特のイントネーションが寂し気で、言われてしまうと、自分まで謝った方がいいような気になってしまう。
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