6/21
前へ
/21ページ
次へ
そのまま車に乗り込ませて、祖母の家へと向かう。 助手席に座ったその姿は、今までで一番小さく見えた。 年をとってからの法要は疲れるのかもしれない。 「どうや、むこうでの生活は?」 「うん、もう二年目だし、大分と慣れて、元気でやってるよ」 祖母のゆっくりとした話し方のせいか、いつもよりも穏やかに話せる自分がいた。 「すぐに、もんでまうんか?」 「ううん、しばらくは帰らないよ。こっちの友達と会うし、一週間くらいはいるつもりだけど……」 そう答えると、少し間ができて、ゆっくりと祖母は口を開いた。 「……、あんな、もし時間があったらでええんやけど、うちの所で手伝ってもらいたいことがあるんや」 「僕に?」 「そや、重たいもん運ぶさかい、手伝ってくれへんか?」 「うん、いいよ」 気楽な気持ちで返事をする。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加