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「大人一枚お願いします」  受付でチケットの半券と小さなパンフレットを受け取る。平日の昼間で空いている館内は、それでもしっかりと暖房が効いていて、寒さで強張っていた体が緩んだ。 ……あんまり変わってないな。  10人ほどの列に並び、周りを見渡す。  子供たちの絵や工作が並べられた一角。壁にたくさん貼られた統一感のないポスター。色褪せた内装。  久しぶりに来た大学近くのプラネタリウムは、大学時代(あの時)から変わっていない。  年が明けて、新しい一年が始まった。  仕事始まりを迎え、年明けでばたばたと(せわ)しない日常を繰り返し、それが落ち着き始めた一月の第三週。  今年も同じ日、いつもと同じように有休を取った。  目的地に向かう途中、ふと思い立って違う駅で降りた。  降りた駅は大学の最寄り駅。家から五駅先で、そんなに離れているわけではないけど、この駅で降りたのは卒業式ぶりだった。   
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