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「――あれ、これでいいのかな」
最初に画面に映し出されたのは、肌色。
手のひらのアップだった。
「うわっ、始まってるわ」
画面に映る理久の顔。
理久の顔を見た途端に、涙が溢れた。
何度も見た理久の笑顔。
何度も聞いた理久の声。
大学生のまま時を止めた理久の姿。
「えーっと、さゆこんにちは。元気にしてますか? て、まだそんなに経ってないか。えっと、さゆがこれを見てるってことは、俺はもうこの世にはいないということだと思います……て、なんか恥ずかしくて無理。やっぱ普通に話すわ」
理久がふわりと微笑む。
「毎日寒いけど、風邪引いてない? ちゃんと温かくしてる? コタツで寝たりしてない?」
両手で持った画面に向かって、何度も頷く。
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