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「さゆ、ちゃんと笑ってるかな? さゆはマンガのキャラが死んだ時でも泣いちゃうくらい泣き虫だから、俺のせいでずっと泣いてるんじゃないかって心配してます。 もし泣いてばかりいるのなら、ごめんね。俺を思って泣いてくれるのは嬉しいけど、でも、あまり泣かれると心配になるから、あまり泣かないでいてくれる方が嬉しいな」  理久は眉を下げた顔で言い、こほん、と小さな咳払いをした。  そのあと、少し低い声を出す。 「……最後に会った時、変なこと言ってごめんね。本当は、直接会って言うべきなんだろうけど、直接だとちゃんと伝えられそうにないから、こうやって伝えることにしました。 手紙も書いてみたんだけど、上手く書けなくて。何度か書き直したんだけど、やっぱり下手くそで……まぁ、歌も下手だけどね。あ、今思い出して笑ったでしょ」  理久に言われ、一瞬で戻ってくるリズムのずれた天体観測の歌。展望台に続く坂道で初めて聞いた、理久の歌声。  理久の言い方が可愛くて、思わず頬が緩む。
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