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だから、最後に会った時、さゆに那月を好きじゃないって言われて、ショックだった。同情されたように、哀れまれたように感じた。
最後にそうやって嘘つくんだったら……だったら、本当にそのまま変わらないでって……今までと同じ、そのままの二人でいてよって思っちゃったんだ。
もちろんさゆが俺に気を遣って嘘を言ったんだってことくらいわかってたし、そんなつもりがなかったのも、悪気がないのもわかってる。
だけど……抑えられなかった。ずっとこれからも一緒にいられる二人が羨ましくて、羨ましくてしょうがなかった。……本当どうしようもないよね。本当に、ごめん」
理久が頭を下げたから、画面に向かって何度も首を振った。
抑えきれなかった涙が、何粒もスカートに染みを作る。
「さゆ覚えてるかな? 結構前にさ、俺が誰も好きにならないって言ったこと。あれね、ちょっと訂正させて欲しい。俺も最近、気付いたばっかりなんだけどね、俺、いつの間にかさゆのこと好きになってたみたいなんだ。
誰も好きになるつもりなかったし、妹みたいにかわいいと思ってただけだと思ってたんだけど、違ったみたい。
きっとだから、二人を見てイライラしちゃったんだろうね。那月に取られるのが、本当は悔しかったんだ。
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