13

19/33
2973人が本棚に入れています
本棚に追加
/392ページ
さゆはね、俺の初恋だったよ。 だから……だから、好きになった子には誰よりも幸せになって欲しいって思ってる。 だからね、さゆを困らせたお詫びに、秘密主義の那月の秘密教えてあげるよ」  理久は少し得意気な笑みを浮かべ言った。 「那月はね、ああ見えて実は……」  そう言った理久は真剣な表情に変わっていて、溜めるみたいに言葉を切った。  何を言われるのかと、思わず居ずまいを正してしまう。 「実はね、本当は変態なんだよ」  それなのに、そんなこと言うから、力が抜けて笑ってしまった。 「……も、なにそれ……」  理久は本当にばかだ。  こんな時まで、わたしを笑わせようとするなんて。  そんな風に優しく笑っているなんて。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!