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 落とした声は、震えていた。  見えないように隠していた手を強く握る。  手の甲に、血管がくっきりと浮かび上がった。  普段は鈍感なくせに、気付いて欲しくない時だけ変に鋭い君が、震えてしまった声に気付かなければいいけれど。  12月の真ん中、三人で見上げた宝石箱みたいな大きな星空。  どこまでも続く深い群青に、たくさんの星が煌めいていた。  たくさんの星が映り込んだ君の大きな瞳も、きらきらとしていた。  澄んだ空気。  痛いくらいの寒さ。  大袈裟なほどに弾んだ声。  まるで夢みたいだったあの時間は、弱いところをくすぐって、すぐに泣かそうとしてくる。  ここで泣いてしまったら、一からやり直しになってしまうというのに。
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