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「……那月……」
那月の服の裾を握った。
もういなくならないように、ぎゅっと握る。
「……会えなくて、……淋しかった……」
ずっとずっと、淋しかった。
ずっとずっと、那月に会いたかった。
那月の手がわたしの手を探り当てる。包み込んでくれる大きな手は、とても温かい。
「うん、俺も。……俺も、さゆに会えなくて淋しかったよ」
那月が優しい顔でそんなこと言うから、また涙が溢れて止まらなくなる。
こんな理不尽なことばっかり言うどうしようもないわたしを、那月は何一つ責めない。
ただ笑って、頷いてくれる。
那月は、どこまでもどこまでも、わたしに甘い。
「――さゆ、帰ろう」
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