鳴り響く汽笛の向こうに

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モノとファッションにはこだわりがあってバイト命な莉子。 面倒見のいい姉御肌の綾。 おとなしいけど読書量がハンパない美羽。 勉強が出来て3年連続委員長をやらされている博史。 帰国子女で固有名詞、特に地名とかがまるで読めない俺、秀。 そしてサッカーが得意でお調子者の…… 「おー、まだいたか、わりぃわりぃ」  すごい勢いで駅の階段を下りてきた男。 「まだいたかじゃねーよ! 何やってんだよ潤(じゅん)!」 「早くしないと12時になっちゃうよ」 「急ごうぜー!」 *** 「しかし毎年、人増えてねーかー?」 「子どこのころなんて、公園に着くまで人の列なんかなかったよなあ」 「まあ最近は雑誌とかで特集組まれちゃったりするから」 俺たちが目指しているのは、横浜港沿いにある山下公園。 細長い形の公園で港に面していて、木も多く、花に溢れた公園だ。 少し離れた大桟橋に停泊している大型船や、みなとみらいにある遊園地や、ベイブリッジを見ながらゆっくり散歩できるんで、格好のデートコースになっている。 高1以来、大晦日にはここに6人揃って行くのが慣習になっていた。 今年で3回目。 ……そして、今回が最後だ。 来年の春には、俺たちはそれぞれの道へと進み、皆、住む所がばらばらになってしまうから。
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