焼きそば700円

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「なんか、広樹くん楽しくなさそうだよね。」 「そんなことは…」  そんなことはない、はずだが、想像していた海のデートと、現実が違っていたのは事実だ。  道中から、海へ到着してからも想定外のことばかりで、それが態度に出ていただろうか。  気まずい沈黙が続く。  ギラギラと照りつける太陽を、海が反射している。  なんて声をかけたらいいかわからず、テラテラに光る海面と彼女を交互に見ていた。  彼女がすっくと立ち上がる。 「どこへ…」僕があわてて問いかけると、 「トイレ!」  彼女は言い捨てて、ビーチの人ごみの中に消えていった。 「はぁ…。」こんなはずじゃなかったのに。  思いながら僕はため息をついた。  にぎやかなビーチに取り残されて、僕はただぼーっと彼女を待っていた。  海。砂浜。人、人、人。  どれにも焦点が合わず、ただ一枚の書き割りのようになったそれらを、見るともなく見ていた。
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