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聞こえてくる音も遠くなり、心がどこかに行きかけたところで気づいた。
それにしても遅くないか?
もう30分は待っている。
僕はあわててトイレの方向へ駆け出した。トイレの近くで彼女を待っていたが、彼女は出てこなかった。
ビーチの人ごみの中を彼女を探して歩き回るが見つからない。
もしかしたら戻っているかもしれないと思い、自分たちのシートのところへ戻ってきたが、そこにも彼女はいなかった。
途方に暮れ、とぼとぼと海の家のあたりを歩いていると、さっきのこんがり焼けたお兄さんが、
「どしたの彼氏、彼女にふられたの?」
と聞いてきた。
「ふられたわけでは…」
僕は弁解した。
ふられたわけではない。そのはずだ。
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