焼きそば700円

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 聞こえてくる音も遠くなり、心がどこかに行きかけたところで気づいた。  それにしても遅くないか?  もう30分は待っている。  僕はあわててトイレの方向へ駆け出した。トイレの近くで彼女を待っていたが、彼女は出てこなかった。  ビーチの人ごみの中を彼女を探して歩き回るが見つからない。  もしかしたら戻っているかもしれないと思い、自分たちのシートのところへ戻ってきたが、そこにも彼女はいなかった。  途方に暮れ、とぼとぼと海の家のあたりを歩いていると、さっきのこんがり焼けたお兄さんが、 「どしたの彼氏、彼女にふられたの?」  と聞いてきた。 「ふられたわけでは…」  僕は弁解した。  ふられたわけではない。そのはずだ。
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