焼きそば700円

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「なに言ってんの? いまさら」  彼女は立ち上がり、腰に手を当てた姿勢で僕の方へ詰め寄った。 「今、初めてちゃんと水着を見たんだ」 「はい?」  彼女の表情がどんどん険しくなる。それはそうだ。  僕は続けた。 「今日は、初めて栞と海に来たのに、想像と違うことに戸惑ってばかりで、不機嫌になったり、焦ったりして、全然、栞のこと見てなかったから……」  彼女は口を真一文字に結んだまま聞いている。 「だから……」 「だから?」 「ごめん!」  僕は大きな声で謝り、頭を下げた。  栞は何も言わず、僕を少し見たあと、おもむろに右手を上げて、僕の背中に振り下ろした 。 空気がはじけるような音があたりに響く。 「痛ーっ!」  僕は思わず叫んでいた。 「これでチャラにしてあげる」  涙目になって、ヒリヒリする背中をさすりながら、僕は彼女のほうを見た。  20%くらいの笑顔が戻ってきていた。  僕は手を差し出し「ごめんね」ともう一度謝った。 「ほんとにね」言いながら彼女は、強く握り返す。  もう笑顔って言っていいくらいの笑顔になっていた。
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