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潮溜まりのヒトデや、小さな魚などを見て、
これはなんだろうね 、こっちのはなんだろうね、と二人で話した。
栞がフナムシをつかまえて、こっちに見せる。
腰の引けている僕を見て、彼女が笑った。
彼女がフナムシが平気なんて、初めて知った。
人ごみのビーチをなんとかすり抜けていく。手の先の彼女を、今度こそ見失わないようにした。
お互いに、すごい人だね、と顔で合図し合った。
海にも人がそこら中に浮かんでいて、すごいね、芋洗いってうまいこと言ったね、と、彼女が言う。
そうだね、と僕が感心して言う。
海から上がってきたら、僕だけがクラゲにそこら中を刺されていた。
ヒリヒリする。
広樹くんが守ってくれたんだね、と彼女が笑いながら言う。
そうか、と僕は少し胸を張る。
日が暮れ出して、少し気温が低くなってきた。
焼けた肌を、撫でていく風が気持ちいい。
あたりで帰り仕度を始める人たちが増えはじめ、ビーチのシートやパラソルも、まばらになってきていた。
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