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焼きそば700円
「焼きそばが700円?」
僕は声をあげていた。彼女はこちらを見てけげんな顔をしている。
僕と彼女は付き合って2ヶ月あまり。初めて二人で海へ行くことにした。行きの電車から人の多さに辟易し、海に着いたころには気力と体力をずいぶん削られていた。
ビーチも当然のように人でいっぱいで、落ち着く場所を探すのにまた気力体力を持っていかれた。なんとか無数のパラソルとレジャーシートの隙間に空間を見つけ出し、自分たちのシートを敷く。
場所を探すたけでへとへとだねと苦笑しあって、とりあえずお腹を満たそうということになった。
近くの海の家のメニューを見て、あまりの高さに驚き、つい出てきたのが冒頭の僕の言葉だ。
「こんなもんだよ。」
彼女は言う。
「そうすよ彼氏さん、こんなもんすよ。」
海の家の、こんがり日焼けしたお兄さんも言う。
納得できない顔で、とりあえず350円のかき氷をふたつ買って僕らは自分たちのシートに戻ってきた。
「でもさあ、夜店の焼きそばとかでも500円だよ?そこへ行くと700円っていうのはさあ…」
かき氷のストローを振り回しながら、僕は力説していた。横を見ると、彼女があからさまに不機嫌な顔をしてそっぽを向いている。
しまった。完全にまずった。
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