うすい本屋さん

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「あのー、すみませーん。」 「はい、どうしましたか?」 「このお店、うすい本屋さんですよね?」 「はい、そうです。」 「全然うすい本が置いてないみたいなんですけど……。」 私のその言葉を聞いた店員は、 ああ、またか、と言わんばかりの表情を浮かべてから口を開いた。 「ごめんなさい!店長の私の名前が臼井(うすい)なんです!」 私は開いた口が塞がらなかった。 私の大切な週末の時間をそんな事の為に費やしたのかと思うと 次第に腹の底から怒りが湧き上がってきた。 それを察したのか、してないのか、 店長の臼井は機先を制するかの如く 再び謝罪の弁を述べた。
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