【浜辺の夜】

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{2} 俺達が、夜の『〇〇ヶ浜』に到着した時… 浜には、当然の事ながら誰もいなかった。 ぼんやりとした月明かりに照らし出された暗い砂浜に… ただただ、静かに波の音だけが響いている。 「おおっ!めちゃめちゃ最高の雰囲気じゃないか!」 Aが感嘆の声をあげた。 「そうだなぁ!」 俺もAの意見に賛同する。 「確かに、これは来た甲斐が有った! じゃあ早速、あの海の家に行ってみようぜ!ああっ!ゾクゾクする!!」 Bも喜びの声をあげた。 という訳で… 俺達は、浜辺に立てられている『遊泳禁止』の看板を無視して…(まあ、遊泳する訳じゃないし) 早速、例の廃屋となった海の家へと向かった。 「おおっ!!」 その廃屋を見た途端、 Aが再び、感嘆の声をあげる。 「いやぁ! 夜、見るとめちゃめちゃ不気味じゃないか!」 俺も… 思わず息を飲んだ…。 その木造平屋の廃屋は… 雨風にさらされた為か、 すっかり朽ち果てた感じで、本当にめちゃめちゃ不気味な雰囲気だった。 Bが… 恐る恐る、入り口の木の扉に手をかける。 『ギッ…』 と、きしんだ音をたてて、その扉が開いた。 俺達三人は、 「よし!」とばかりに中に入った。 店の中は… 窓から射し込む月明かりでぼんやりと薄暗かった。 建物の外観にも増して、なお一層、めちゃめちゃ不気味な雰囲気だ。 かつては、店のカウンターだったらしい場所には、 ホコリか砂だらけのレジの機械が転がっており、 その横には、ガラスが割れた飲み物ケースが有る。 その内部の床には… 一面にタタミが敷き詰めてあり、所々に小さなテーブルやら座布団が散乱していた。 俺達は、ちょっとした『探検気分』で、あちこちを見て回った。 と、俺は… 何とは無しに、窓から外の風景を見てみた。 「おおっ! 窓から見る夜の砂浜も、めちゃめちゃ良い眺めだぞ!!」
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