0、ブレーメンには負けられない

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「やっとこの日が来たなぁ」 文化祭の有志発表の為だけに作成された簡易ステージ。大きさ的には縦横6Mくらい。 柔道部で使う畳と、普段は利用しない教室の机を、積んで・縛って・固定してできた我が母校の由緒正しき簡易ステージ。 その上にドラム、アンプ、キーボードに間接照明等々、様々な備品が乗せられていく。そんなに乗っているのにビクともしない机と畳の集合体ステージ。マジリスペクト。嘘。 機材一同が無事鎮座したところで、俺はステージ前方の中央に立つ。 ――――うん。悪く無い眺め、寧ろ良い。すンごく良い。欲を言うなら、特設ステージじゃなくて、あのステージを使いたかった。あれあれ、表彰式とかで登壇する方のステージ。 あっちでやれるほうがメチャメチャカッコいいと思うけど、あそこは去年全国2位になった合唱部のステージで使うからってセットに時間が掛かる楽器は使用許可が降りなかったんだ。ちくせう。 そんな思いをひた隠しにしながら、特設ステージ前方の中央でマイクチェック。 ハーだのフーだのワーだの叫んで調節をしてもらうが、正直なところ変化がわからない。何がどう変わっていっているのか教えて下さい、放送部員さん。 勿論他のメンバーも同様に準備を始めている。 大輔は親父さんとドラムを組み立てている。ここに関しては俺には全くわからないから、一先ず温かい目を送って応援。 南雲はアンプに繋いでいないギターで自分のソロパートの練習をしている。お前ならできるさ、あんなに練習したんだぜ。 領真は担任の小林先生と音のチェックをしている。さすが我らのリーダーと担任件技術指導者。髪は悲しい事になってるけど。 園田はキーボードを放置して、ステージ下にいた友達と話してた。このマイペースが園田なんだよなぁ。
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