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「渥美さ、俺らと一緒にバンドやらねぇか?」
久し振りの会話は、そんな唐突な一言からだった。
俺は渥美涼太(アツミリョウタ)。今年から中学2年になった野球小僧。うちの学校では、2年になった時にクラス替えがあるんだけど、そこで懐かしい奴との再開があった。
そいつの名前は大竹領真(オオタケリョウマ)。小学校3~4年の時に同じクラスになったっきりだった。中学1年の時も勿論存在は知ってたんだけど、いかんせんうちの中学の規模がでかすぎて、反対校舎にも同学年のクラスがあるくらいだから、用がない限り遭遇する事はあまりない。
そんな、誰でも経験値多目系スライムになれる可能性がある中で、クラス替えをして、再開を果たした半年後に唐突に言い放って来た。
「いや……なんでそんな急に……? というか、隣はどちら様?」
領真の隣にいるのは、髪が少し茶色掛かっていて、ちょっと天パな高身長男子。ちなみに俺は155センチ。もう嫌。
同じクラスの男子である事は勿論わかっているのだが、まだクラス替えから半年しか経っていない。クラスメイトから知り合いへの昇格には短すぎる時間だ。
その隣の高身長男子は、俺に視線を向けて、少しおっとりとした感じで話し始める。
「僕は南雲伸也(ナグモシンヤ)だよぉ、よろしくね。領真っちとは小学校からスイミングスクールが一緒だったんだよねぇ」
「そ、そうなんだ。俺は渥美涼太、こちらこそよろしく」
クラスメイトから知り合いに昇格! で、そんな事よりも。
「んで領真、なんで急にバンドなの?」
俺の質問に領真は、フフッと得意げな笑みを浮かべる。
もったいぶってないでさっさと話せ……。そう言えば、昨年の文化祭の時に、3年生がバンドを組んでたなー。あれはカッコよかった。
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