海の家にて

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その夏。 私は、海の家でバイトしていた。 大学も住んでいるアパートも海辺。 でも、意外と海に関わってないというか。 もっと青春したい! と、いうことで青春ドラマにありがちな海の家に飛びついた。 「佐々木さんは、バイト代は、何に使うの?」 バイトの休憩中。 同じ大学と言う共通点で話すようになった、高山君。 お気楽では、あるけど話しやすくて好感は持っている。 「なにって・・・。決めてない。旅行にでも行こうかな。」 「ありきたりだね。」 「いいじゃない。高山君は?とう使うとか決めているの?」 「宝クジだ!ロトで億万長者になる!」 「はあ?」 「バイト代つぎ込んで、ガツンと当ててやる!」 「もっと、有効な使い方あるでしょ。」 「有効だよ!俺は、億万長者の可能性を持った男だぜ!」 バカだな。 私は、少し呆れた。 「当たらないでしょ、そんなの。」 「俺は、違うぞ!ナンバーズで4万当てたことある!」 「それくらいは、あるでしょ。億万長者は、無理だよ」 「買えば可能性は、ゼロじゃない!」 「そうだけど。」 「佐々木さん、宝クジ当たったら何か、高級なものおごるってやるよ!」 「そう?じゃあ、フランス料理のフルコースとか。食べたことないから。」 「億万長者の俺には、ちょろいぜ!」 くだらない会話。 でも、なんだか心地よい。 「佐々木さん、焼きそば、持ってかえる?余った分、店長が持って帰っていいって。」 「うん、持って帰るよ。高山君の焼いた焼きそば意外に美味しいからね。」 晩御飯代が浮いた。 「ま、これだけ毎日焼いてればね。」 高山君は、肩をすくめた。 「でも、割と余るものなのね。」 すると高山君は、私の耳元でボソと言う。 「多めに焼いているのさ。」 思わず、私は笑ってしまう。 「ワルだね!」 「このくらいの特権ありだよ。」 共犯者ってやつかな。
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