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「へえ、高山君、"いきものがかり"とか聞くのね。意外!」
「意外ってなんだよ。普通だろ。」
「まあ、そうか。メジャーだし。コンサートとかさ、行きたいと思ってもチケットとれないよね。」
「俺、行ったことあるよ。」
「え、そうなの?よくチケットとれたね!」
「ファンクラブ先行販売でなんとか買えた。」
「え、ファンクラブ入っているの?そんなに好きなの?」
「だから、好きだって言って言うだろ。行きたいなら、今度チケット申しこむから、取れたら、行く?」
「高山君と?」
「そりゃそうだよ。一人二枚までだからね!」
「じゃあ、お願い!」
「わかったよ。チケット取れたら連絡するから、LINE教えといてよ。」
「オッケー!」
あ、LINE交換しちゃったよ。
まあ、いいのだけどね!
あっという間に、海の家は最終営業日を迎えた。店長は、労いを、込めて打ち上げを開いてくれた。
なんとなく、高山君と私は、隣同士で座っていた。
「大学であっても、無視するなよ。」
高山君は、大分酔っているようで、舌が回ってない。
「しないよ。それよりコンサートの、チケットよろしくねぇ。」
「まあ、当たるかはわからないけどね。」
「当たっても別の女の子と行きたくなったら、相談してね。それ程物分かりの悪い女じゃないから。」
「彼女も居ないから。それは、大丈夫。」
「確かにモテそうもなしいね。」
「失礼だな。佐々木さんは、彼氏とかいるの?」
「居ないのよ、これが。私もモテないからなあ。」
二人でゲラゲラ笑う。
でも、やっと確認できた。
私も酔ってきた。
私達が、何かバカらしい話をしていると打ち上げもお開きになった。
終わりかな。
終わらないで欲しいな。
私は、集団に埋もれながら、高山君を意識していた。
あれから、1か月。
高山君と大学で会うことはなかった。
なんか、廊下でも食堂でもそわそわしてキョロキョロしてしまっていた。
チケットは、とれなかったとLINEがきた。
やり取りは、それくらい。
一夏の思い出で終わりなのだろうか。
一日何度もLINEを確認したがコメントは、動かない。
もう、私から連絡しようか。
なんて?
モヤモヤしながら、日々は過ぎていく。
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