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その日、私は海の家のあった海岸に来ていた。夏は、あんなに賑わったのに、寂しい私が、
一人でいるだけだ。
波が寂しげに打ち返している。
一人でぼんやりしていると、測ったようにスマホが鳴る。
高山君からLINEがきた。
「宝クジ当たったよ。ナンバーズで4万くらい。約束だからおごるよ。フランス料理のフルコースは、無理だけど。いつ、空いている?」
ほんとかよ。
もう少し、マシな誘い方なかったのかな。
確かに、そんな話もしたけど。
と、思いつつ口元がにやけているのを感じる。
既読は、付けたけど、返事は直ぐにはしない。
これだけ、待たせられたもの。
仕返し!
寂しげな海岸は、いつの間にか夕日に照らされて輝く。
海も私の心もきらめいていた。
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