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「それで?」
二人でいるのを誰かに見られたらややっこしいことになる。さっさと話を進めるよう促すと、
「あのさ、」
彼はちょっとためらってから、
「スバル海岸にでるって本当?」
「スバル海岸?」
どこかで聞いたなと考え、
「ああ、昼休みに話していた……」
「そうそう」
「知らないけど……」
そんな話は聞いたことがない。
「でも、気にしているのなら行かない方がいい」
「え?」
「気にしていると、呼び寄せるから。幽霊やモノノケがいるかもしれないと不安に思ってると、他所からやってくることになる。そこにいなくても」
だから、と強ばった顔をしている清澄をまっすぐ見る。
「気にしてしまっているのなら、ほかのところにした方が無難」
彼はちょっと考えるような間を置いてから、
「うん、違うところにいく。ありがとう」
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