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「ほれ!ここから顔をのぞかせてみぃ!」
「…… ?」
ウミガメのおじいさんはしばらくおよいだところの海面すれすれで止まり、七色イルカにニコニコ笑いかけます。
「わあっ」
七色イルカがいわれたとおり、海面から顔を出すと空には見たことのないキレイな橋がかかっていました。
「きれい……」
七色イルカははじめて見るソレから目がはなせなくなりました。
「ふぉっふぉっふぉ!アレが"虹"さ、色をかぞえてごらん」
「……? ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ…… ななつ。ななつ!!ぼくの色とおんなじだ!!」
「ふぉっふぉっ。おまえさんはイヤだといったが…… 見ているとふしぎとえがおになるじゃろ?」
そういわれて七色イルカはじぶんが笑っていることに気づきました。
「…… うん」
「あれは空に架かる橋。おまえさんはえがおで海を駆け、みんなをえがおにしてやることができる"海の虹"になれば、きっとおまえさんのおかあさんも、えがおになるはずじゃよ」
「"海の虹"…… なれるかな?」
「おまえさんならなれるさ!さあ、じふんに自信をもって胸をはっておいき」
「うん!ウミガメのおじいさんありがとう!」
七色イルカはさっきとはちがうなみだをながしながら、だいすきなおかあさんのところへおよいでいきました。
「ふぉっふぉっふぉ!やはり"虹"はえがおでおらんとな」
ウミガメのおじいさんはさってゆく七色イルカをまんぞくそうに見つめ、しずかに海の中へ姿をけしましたとさ。
──── おしまい。
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