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バカンスを家族と過ごすため、私はいま機中の人となっている。
子どもたちをつれてひと足先に現地入りしている妻から、
「すごいわ、あなた! こんな素敵なところ初めてよ、私! こんな場所がこの世にあるなんて! 子どもたちも大喜びよ! 嬉しいわ、ありがとう! あぁ、早くあなたに会いたい――」
搭乗前に電話をすると、妻は興奮気味にそう捲し立てた。
私は思わずあきれ笑い。
ふだん感情をあまりあらわにしない彼女が、ここまで気持ちを昂らせているのはめずらしい。思惑以上の好反応に、私の顔も自然とほころんでくる。
家族サービスなど数えるほどしかしたことのない、家長不適格の私に文句一つ言わず尽くしてくれる妻と、可愛い子どもたちと一緒に過ごすひと時――大切な場所・幸福な時間――妻同様、私自身も心の逸りを抑えられずにいた。
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