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「おい、マジか!? 耄碌が始まって、バケモノの類いが見えるようになったんじゃないだろうな。まだそんな年齢(とし)じゃないはずだが」
急に声をかけられ振り向くと、そこには、だいぶ老けたが懐かしい笑顔があった。
「ミッキー! 久しぶり! 元気だったか?」
私たちはたがいを強く抱きしめ、肩を叩き合った。
「驚いたな。何十年ぶりだ? 25、6年……いや、もう30年近く経つんだな。あいかわらずスカした面だ(笑)」
「おまえこそ、ずいぶんと恰幅よくなったもんだな。その制服、まさかおまえが駐在員なのか?」
「おうよ、笑えンだろ」
わはははと豪快に笑うミッキーに、私も破顔する。
「知ってるぞ、ずいぶんとご活躍らしいじゃないか。よく分らねぇが、何とかって大きな賞を獲ったって?」
「どこでそれを?」
「娘がな。本土で地元のローカル紙の外信を担当しているんだ」
「へぇ、すごいじゃないか」
積もる話が山ほどあったので、妻に連絡を入れ、私はミッキーとパブで一杯やることにした。
話は自然とあの頃のことになった。
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