帰郷

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僕らは急いでいた。 一昨日からの暴風雨で海は大時化(おおしけ)だった。 じいちゃんたちが被害状況を調べ始める前に、“戦利品”を回収しなくては…… 荒神が通り過ぎた海はうそみたいに穏やかで、青く美しくひかり輝いていた。 まだ6時過ぎだというのに、気温はぐんぐん上がってきている。 荒らしが去った今日は暑くなりそうだ。 僕とミッキーとヴィクは年が近く、家が近所なこともあって、いつも一緒につるんでいた。三銃士仲間だ。 僕は四人、ヴィクは五人兄弟の末っ子で、ミッキーは下から二番目。 三人とも兄姉妹とは年齢(とし)が離れているので、おたがいが強い絆で結びついていた。 船着き場に到着すると、“一本足”がすでにあたりを物色していた。 濡れた砂が義足にまとわりくっついてなかなか落ちないらしい。 さかんに、血の通わない痛みも何も感じない奇妙な“ブツ”を振っている。 死んでいないほうの脚で片足立ちし、バランスを保ちながら…… “一本足”は村で孤立している。自分でそうしたくてそうしているんだって、父さんや兄さんは言っている。 どこからきたのか、いつからこの島に住み着いているのか誰も知らない。 それでも、最初はみんな同情的だった。 でも、親切心から声をかけても、応じるどころかイヤな目つきで睨み返してきたり、何も言わずに立ち去ったりするもんだから、そのうち誰も相手にしなくなった。
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