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「親不孝な息子でごめんなさい、お父さん。……母さんによろしく」
「ああ。……また、会えるかな」
男の呟くような問いかけに、彬良はさざ波の音を背景に頷いた。
「お父さんがさっき言った禊を済ませば、きっと」
そう述べた時、海から大きな波が押し寄せてきた。徐々に高さを増し、腰から肩、頭までの高さになり、このままでは飲み込まれる、そう男が構えた時、大波は彬良だけを飲み込み、沖へと去って行ってしまった。
波と共に姿を消した息子がいた場所へ駆け寄り、男は沖へと戻っていく波をずっと見送っていた。
港は今日も多くの漁師でにぎわっている。男は船に乗る前に裏山に向かって手を合わせた。今日も大漁で、無事に皆ここへ戻ってこられますように。
そうして、男は仲間たちと共に、愛する息子がいる海へと出かけていく。
裏山の頂上には彼らを見送るように、立て直し、新しく美しくなった社の中で、大粒の真珠と珊瑚が輝いていた。
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