暑い砂浜

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クソ暑い日差しに照らされながら、俺は浜辺を歩いていた。 左手には、やたら高い壁が延々と続き、右手にはどこまでも青い海が延々と続いている。クソ、どこまで続いてんだ、このクソ長い砂浜は! 俺は砂浜をさまよっていた。いつから歩いてるのかもよく分からない。 魚の匂いで目覚めたのは覚えている。波打ち際にサケとマグロがはねていた。そこから歩いてきたんだ。暑い中、太陽の日差しが照る砂浜を。 空はとてつもなく青い。太陽がギラギラと輝いている。ここは、きっと本来は人がたくさん来るビーチなんだろう。そう思うのは、どこからか音楽が聴こえてくるからだ。今聴こえるのは、サザンオールスターズの『太陽は罪な奴』。この歌は明るい夏の歌で、太陽をむしろ肯定的にとらえてる曲のはずなんだが、今の俺にとっては太陽の光の熱さが文字通りの罪に感じる。この紫外線、熱射病になりそうな熱さは罪だろ。いや俺が悪いのか?俺が何か罪犯したからこんな浜辺にいるのか?曲は真夏のビーチに流れてそうな軽快なポップス。しかし、見渡すかぎり、人はまったくいない。このクソみてえな状況よ。 暑くて苦しい。しかも俺はスーツを着ている。スーツを着ながら、人がいない砂浜を延々と歩いている。革靴に砂が入る、この嫌な感覚。 左手に続く壁は、30メートルぐらいある。『進撃の巨人』の壁みたいに垂直ではなく、傾いている。上にいくにつれ傾いていて、こっち側に倒れてくるんじゃないかと思うほど曲がってる。この壁のおかげでできる日陰に入って歩くのだが、それでも気温が熱い。行けども行けども人はいない。右手に海、左手に壁が延々と続くだけだ。
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