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海面に没した槍海の前方には、ほんの数秒前まで見えていたのと同じ海面越しの空が見えていたが、ガラスに頭から突っ込まんばかりの衝撃と共にイワシの群れと暗い海の奥に変わっていった。
こちらの急速な転舵と加速、敵の槍海は俺たちを見失ったようだ。
そう、俺の前方ガラスは敵の真下から、敵の槍海越しに海面を見ていた。
引き金を引く。
まっすぐ泡のように浮いていく潜航銃弾の航跡。
今度は海面の手前で敵の槍海に吸い込まれていく。
槍海が光った。炸薬代わりの電気パルスで機関が停止した証拠だ。
同時に敵艦の方向から鈍い音が2度、さらに1度響いた。
「やったか……」
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