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発進
西暦2150年代。
世界の海は人類誕生から何メートルか上がったらしい。
消えた島もそうでなかった島もある。
わが国は山もお金もあったから沈まなかった。それだけのことだ。
発進準備室。すべての隊員が揃っていた。
目の前には卵型の小型潜水艇「槍海」が整備を完了させ並べられていた。
「ただいま発進準備が下令された。」
前に並ぶ9人。みな、まっすぐ俺を見ていた。
「目標は予定通り難民海賊軍。今回は大型艦3隻との情報だ。」
俺の隊長機を含めこちらは5機。ほぼ1機で1隻を沈めなければならない。
「支援攻撃は?」9人の右端に立つ俺の副官、すらっとした背の高い女性の瀬戸二尉がたずねた。
「事前の威嚇圧力射撃と交戦時の電磁パルス照射が実施される。」
「了解しました。」
準備室のスピーカーからブザーが鳴る。大戸艦長の声だ。
「今より5分後に発進する。槍海隊員は最終準備に移れ。」
槍海各機は発進カプセルに格納され、各隊員は2人一組で乗り込む。
「槍海1号機よりブリッジへ。各計器、酸素圧、装備および燃料異常なし。」
「久々ですね。思い出せるかなぁ」真後ろに座る瀬戸夏美二尉はまるで女子大生のような言い方をした。
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