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槍海の通信用マイクが志向性なのは、無駄口を叩いてもいいようにしているためかもしれない。
「忘れてたら今すぐ射出ボタンで帰してやるから安心しろ。」俺はぶっきらぼうに答えた。
「うわ、ひどーい!」槍海が入った射出カプセル内は海水が注入されている。
「HLSシステム起動確認。対G体勢とれ。」
「了解っ。」
ブーッ! とブザーの音が狭い操縦席に響く。
前方ガラスが突然明るくなった。発進カプセルの艦外側ハッチが開いたのだ。
するとカプセル内の水圧と「うなさか」艦内の水平発射システム(HLS)によって槍海はまっすぐ水平に海上へ放り出される。
カプセル内からついてきた水で歪む前方ガラスの空。体にかかるすさまじい圧。
歯を食いしばって計器を確認する。
「潜水開始っ」俺は手元左側ののレバーを倒した。
目の前の歪んだ空が一気に水面に倒れ、一瞬にして泳ぐイワシの群れが目の前を覆い、そして消えた。
「ふぅー、今回も全機上手くいったみたいですね。」
「お前あのGの中でよく横の僚機見てる余裕あったな。」
HLSシステムは「うなさか」の右舷から、槍海をまっすぐ海面と水平に押し出し、しばらく滑空させた後、カプセル内からついてきた海水と一緒に海面に落ちる仕組みだ。
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