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セシウム炸裂弾、通称C弾は特に水柱が大きく威圧効果が高いが、衝撃も全方位に満遍なく広がるので槍海乗りはその度に死ぬ思いをすることになる。
「来るぞ……!」レーダーで近くに障害物がないことを確認する。
直後、槍海全体が激しく揺れる。
前後左右が分からなくなる衝撃だ。
「ぁぅ。」後ろで瀬戸の小さなうめき声が聞こえた。
後ろから彼女の手が出てきたのでつかんでおいた。
おそらく揺れていたのは5分程度だろう。だが常人なら吐かずには居られなくなる衝撃だ。
アトラクションどころじゃない。
「瀬戸二尉、大丈夫か?」
「ぁ、ふぁい……」声はぐちゃぐちゃだが、つかんでいた手はしっかり離した。
海水を伝播する衝撃波は空のような減衰が少ない。彼女には毎度堪えるようだ。
「失礼しました、隊長。」形式的な発言で調子が戻ったことを後ろから伝えた。
「僚機にも損害はないな。」計器確認と健全との信号を受けて5機の陣形を立て直す。
「さて、突っ込むぞ。」
「は、はいっ。」全機に加速信号を送った。 突撃の合図だ。
水柱で威嚇された難民海賊軍艦3隻は回避の為に左旋回し、俺を隊長とする「うなさか」槍海隊はそれを右後ろから攻撃する。
そういう作戦だ。
僚機含め、各機は15度の浮上姿勢に立て直して加速、敵艦の艦尾めがけて濃紺に包まれた海中を進む。
その時だ。
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