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「着水音1確認! 敵なにか出しましたよ!!」瀬戸が叫んだ。
「モーター音するか? しなければ爆雷かもしれん!」爆雷とは潜水艦向けの爆弾だ。この距離で受けたら直撃でなくても槍海は全滅する。
この手の敵艦は持ってないはずだが……。
「モーター音聞こえます。えっ、この音……」瀬戸は戸惑いを見せた。今俺は戦闘態勢で観測は瀬戸に任せている。
「なんだ?」
「槍海です。敵の槍海隊!」
「なんだと!?」
「いや、前にインド洋で槍海持ってる艦が難民軍に取られたとは聞いてましたけど……」
「はやいな。 さすがは元職能集団だ。」
難民海賊軍は国土を持たない海軍だ。だが一筋縄ではいかない練度を持っている。
「敵槍海から信号受信。」
「何と言ってる?」
「『我ら、恵まれざる国の民。諸人民の平等を公正を要求する』です……。」
「宣戦布告か。」それは難民海賊軍が他の海軍に攻撃するときの常套句だった。
海面上昇によって国土を失った国々。行き場をなくした彼らが海上を漂った末に作った「国家無き軍隊」。
彼らへ生きる術として技術を与えながら、新天地を与えなかった国々へ、その与えられた技術を矛に挑戦を続けている。
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