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「自衛用の装備を展開する! 僚機は敵槍海に構わず攻撃するよう伝えろ。当機が槍海を迎撃する!」右のレバーを引いた。
「ええぇえ!」瀬戸はまた俺のシートをつかんだ。
前方ガラスに淡い海面がかすかに見える。
その薄い光の中に小さな点が影を落としていた。
エイのような丸い一点。
俺は引いた右レバーを操作して引き金を引く。
エイのような一点、その背びれに向かって泡のような銃弾が規則正しく飛んでいく。
ひらり、と敵はかわした。
同時にこちらに攻撃を送り込む。魚雷のようだ。
右目に写る、まっすぐこちらに向かう魚雷の黒い影。
目の前にきらきら光る海面と空。
俺は加速ペダルを引いた。
「歯ぁ食いしばってろよ瀬戸!」背中から押されるような感覚。
直後、俺の乗る槍海は海から飛び上がった。
前方ガラスを照らす水しぶきと青い空。
積乱雲。
カモメ。
それは長い刹那を経て、少し手前で弾けた爆発的な水柱に飲み込まれていった。
10mも離れない海面で炸裂した魚雷の水柱で俺の槍海は前方への力を失い、まっすぐ後方へ倒れていく。
水面にぶつかる槍海の衝撃。
俺はたっぷり3秒待って、舵をマックス引ききって加速ペダルを再度踏み込む。
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