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『でも、おばあちゃんが死んで以来、本当に泣いてないからすごい効果だよ。ていうか、強くなったのかな』
『そうだね、倫はいつも笑ってるイメージ。たまに笑いながら怒ってるから怖いけど』
『道孝も笑いながらサラッと毒づくよね。似た者同士だよ……って、あ!』
立ち上がった私は、勇と藍に大声で、
『噴水に近付きすぎたらダメだよー!』
と叫ぶ。
すると、ふたりとも『はーい』と声をハモらせた。道孝は、『お母さんみたい』と言って、また肩を小刻みに揺らした。
『引っ越し……もうすぐだね』
座り直した私は、ひと呼吸おいてから口を開く。
『うん。寂しい?』
『寂しいに決まってるよ』
『でも、泣かないんだ?』
『泣かないよ。強いからね』
そう言うと、道孝が私の手をぎゅっと握った。私の手より若干温かいその手のぬくもりが、じんわりと心地いい。
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