澱み

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砂浜が、うねっている。 大学二年目の夏。 バーベキューやりたい!と騒ぎ出した先輩のおかげで、私の所属するダンスサークル一同は、海にやって来たのだ。 もちろんバーベキューだけで済むはずもなく、泳いだり、踊ったり、喋り込んだり、みんなそれぞれに海を満喫している。 そんな中、私は立ちくらみを起こしていた。 「真由、大丈夫?パラソルの下で休もう?」 百人ほどのダンスサークルで一番気の合う同期生、友香がふらついた私を支える。 「うん、やっぱり無理っぽい……少し休むね」 輪の中からはみ出るのがつまらなくて粘ったものの、再びバランスを崩した私は、その言葉に従うことにした。 友香の腕に掴まりながら浜辺を歩き、カラフルで真新しい目印へと向かう。 サークルのパラソルまで着き、敷いてあるシートに座った。 友香はクーラーボックスからスポーツドリンクを取り出す。 「ほら、飲んで。そしてこれも使って」 続けてタオルに巻かれた保冷剤が手渡された。 「ありがとう」 友香にもたれ掛かり、保冷剤で身体を冷やす。 ドリンクを飲んでいると頭がすっきりしてくるのが分かった。 先ほどのような目眩は感じない。 「ちょっと楽になった」 「うん、よかった」 「そろそろ一人でも大丈夫だよ」 「そっか。しばらくは無理しないでね」 じゃあ、また後でね。 そう言って友香は歩いていく。 栗色のポニーテールが、ふわふわと揺れていた。
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