本屋さんのトリック

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 彼の本性を知っているのはくれはを含めて四人ほど、コミュニティの仲間は十人以上残っており、真島の毒牙にかかっている独り身はあと八人はいるため、くれははこれ以上の被害を止めたいと思っていた。 「こうなったら力尽くでなんとかしないとダメね。ねえ、くれは……なんとかしてその男をここに連れてきてくれないかしら」 「直接会って何かするのね? だったらどこかで待ち合わせすればいいじゃない」 「私がここを出られないのは知っているでしょう」 「あ……そうだったね」  くれはは読子の事情を全て知っているわけでは無いが、読子が人魚書店を継いで引きこもりになったことは知っている。  そして彼女の引きこもりが彼女自身の意志でもどうしようにもならないファンタジーなモノであることも。 「了解。アイツを連れてくるから、この一件、任せるよ」 「仕切らせてもらいます」  数日後、くれはは真島を連れて人魚書店を訪れた。  事情も知らずに付き添う真島の肌は心なしか潤っており、今朝合流して早々に、くれははまた誰かと寝たばかりだなと察していた。 「はじめまして。ええと……本屋さんでしたっけか」 「こちらこそはじめまして、真島さん。聞いてはいましたが、本当にアニメみたいな声ですね」     
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